読み終えた本

ながい坂 (上巻) (新潮文庫)

ながい坂 (上巻) (新潮文庫)

昭和41年の本のようです。現代小説は時が経てば色あせてしまいますが、時代小説は時が経ってもそもそも昔の話なので、色あせもせずに、読むことが出来ます。
ということで、ご存知、山本周五郎の名著(らしいです^^;)。実は、山本周五郎は「樅ノ木は残った」しか読んでおらず、それも、TVのドラマ(原田甲斐里見浩太郎が演じたバージョン)に触発されて読んだと言うミーチャンハーチャンの世界です。山本周五郎池波正太郎とか藤沢周平とか司馬遼は作品が多すぎて何から読んで良いのかよくわからないのです・・・
で、話を元に戻しますが、この本はいい!平侍の主人公が城代家老に上り詰める出世物語、と言ってしまえばそれまでなのですが、主人公が常に懐疑的でありかつ最初のほうは単に出世がしたい、という事だったのですが、後半は出世なんかしたくない(でも出世してしまう)というように思えてきてしまい、出世の代わりに親兄弟を捨ててしまったことも半分納得半分後悔、といったように分け判らん状態になってしまってるところがまた人間らしくて面白いのです。人間は矛盾の塊、という事をまざまざと見せつけている作品だと思いました。