特許法35条

下のコメント欄でご質問のあった私のいる会社での特許法35条いわゆる職務発明規定ですが、まず、現状を述べたいと思います。

私のいる会社の職務発明規定は、

  • 出願、登録、自社実施、実施料収入(他社実施)補償金の4種類
  • 出願補償金は年4回、他の補償金は年1回まとめて支払う
  • 出願、登録、自社実施補償金は定額だが、実施料収入補償金は額に応じて支払額が決まるため上限額はない
  • この規定は退職した発明者にも適用する。つまり、登録時には発明者が退職していても登録補償金を支払う
  • 発明者が死亡した場合は遺族(通常は奥様)に支払う

という規定になっています。

で、質問の件ですが、とりあえず、現状では何も対応していません。
あの規定は私が理解しているところであれば、4項、5項とも今までの判例を追認したに過ぎず特に目新しいものではないと考えます。
また、協議云々の部分についても、協議をしなければいけない、という事ではなく、協議をしてかつその結論が妥当であればそれを優先する(後からの文句は認めない)、というものでありますので、協議をするかしないかは会社の裁量の範囲内にあると思います。
某電機メーカーでは電子メールで全従業員に意見の聴取を求め、それを「協議」とみなす、といったような事をやっていると聞き及びますが、そこまで「協議」に手間隙かける必要性があるのか、非常に疑問に感じます。

実際にこの4、5項がどのように運用されるのか、どのような「協議」がOKなのか、という事は最終的には裁判所で争わなければいけないのですが、この条項は4月以降の発明に適用されます。そして、その発明が会社に利益をもたらしその利益の分配で会社と発明者がもめるのはずっと先の事になります。それまでは、従来の35条が適用されますので、しばらくは職務発明に関する紛争は続く事になると思います。

mp5pdwさんへの回答になっているのか、はなはだ疑問ではありますが、私のいる会社の35条の紹介とあいまってエントリさせていただきました。